デンマークと今治(宮窪)@


ニューハウンのボートツアー




復元したバイキング船


クロンボー城からの眺め(対岸はスウェーデン)

 厚澤秀憲・アンご夫妻との出会いに、筆者は不思議な縁を感じました。まさか、デンマーク人の指導・協力で宮窪のまちづくりを行う日が来ようとは…。筆者は20歳代半ばの頃、世界に誇る海事博物館が今治に欲しいと願い、水軍レースでバイキング船を漕ぐデンマーク人と小早船を漕ぐ日本人のエキシビジョンマッチを夢見ました。
 平成16(2004)年10月、宮窪町立村上水軍博物館(現在は今治市立)がオープンし、とりあえず、海事博物館の夢は叶いました。水軍レースについては、市町村合併後、規模の縮小が図られただけに、奮起をうながすためにも、船種の違う和船競漕の実施を願っています。平均身長180cm以上のバイキングチームとの対決は、さぞ見応えがあると思います。この夢をアンさんに話すと、「招待すれば、喜んで来てくれますよ!」と。
 筆者が北欧のデンマークにこだわる理由は、同国がバイキングの里で、現在も海運大国であるからです。これに対して今治市は、能島村上氏や来島村上氏といった村上水軍(村上海賊衆)の里で、現在は世界有数の海事都市(海運・造船)を標榜しています。宮窪町は、早くから「能島水軍の里」を標榜し、海賊の歴史を中核にすえたまちづくりを行ってきました。その成果が、村上水軍博物館の建設や国史跡・能島城跡の発掘調査、潮流体験の観光商品化や水軍レースの実施につながっています。まちづくりに熱心な住民グループのいたことが成功の鍵だろうと思いますが、彼らのスタンスは明快で、そこにしかない地域資源を活かそうとしています。鯛の燻製事業も、その延長戦上にあって、つながっているのだと思います。
 ☆デンマーク旅行で感じたこと
 デンマークの首都・コペンハーゲンは、チボリ公園のある街で有名ですが、宮窪の潮流体験や来島海峡の急流体験に似たボートツアーもあり、ニューハウンの桟橋から運河をめぐる海上遊覧は、人気の観光コースとなっています。運河に架かる橋をくぐったり、海上から伝統建造物や人魚姫像を眺めたりすることができます。また、市街は自転車道の整備が発達していて、鉄道にも自転車を載せることが当たり前となっています。近年、サイクリング観光客が増えたしまなみ海道にとっては、お手本となる街かもしれません。
 かつてデンマークの首都だったロスキレは、デンマーク王室のロスキレ大聖堂(世界遺産)があることで有名ですが、もう一つ忘れてはならないのがバイキング博物館です。ここには、海底から引き揚げられたバキング船が収蔵展示され、水中考古学による学術成果を目の当たりにすることができます。近年、その復元船による体験航海が行われ、バイキング史への熱い思いを国民性に感じます。村上水軍博物館でも、宮窪漁師の底引き網にかかったナウマンゾウの化石や潜水漁業で見つかった中世の壺や皿など、興味深い資料を収蔵しており、復元した小早船が水軍レースを盛り上げます。
 ヘルシンオアという港町は、対岸にスウェーデンの港町が見える海上交通の要所で、ここに築かれたクロンボー城(世界遺産)は、来島海峡に臨む今治城同様に、海の道をにらむ城郭といえます。城内は一般公開されていて、展示室の一部は海運・造船の資料コーナーとなっています。今治にも、現在の海事産業の身近なルーツを実感できる海事資料館が欲しいものです。ちなみにクロンボー城は、シェークスピアの戯曲『ハムレット』の舞台でも有名です。
 このように、今治や宮窪との共通性を感じるデンマークですが、アンさんご夫妻も宮窪の人と景観が気に入ったご様子。今後も、宮窪にどんどん足をお運び頂き、絆を深めたいですね。 【つづく】     




広報担当 大成経凡